ねじれ配座と重なり配座

sp3結合は回転可能です。これが配座異性体を形成する要因です。エタンで考えて見ましょう。まず、Newman投影式で表した場合、手前の三つの水素の間に、奥の炭素に結合した水素がきれいに配列した配座が出来ます。これをねじれ配座(staggered conformation)と呼びます。HAHBの二面角は60°となります。Staggerとは英語で「よろめく、千鳥足であるく」の意です。直訳すれば「よろめき配座」とでもなるでしょう。炭素-炭素結合は回転可能で、60°回転させるとNewman投影式では手前の水素に奥の炭素に結合した水素が完全に重なってしまいます。これを重なり配座(eclipsed conformation)と呼びます。HAHBの二面角は0°となります。Newman投影式で表すとき、完全に重ねてしまうと、非常に判りにくいものとなってしまいますので、通常は少しだけずらして表現します。Eclipseとは英語で「日食、月食」を意味します。手前の水素と奥の水素はまさに日食状態です。ねじれ配座の方が安定で、特別の事情が無い限り、ほとんどがねじれ配座で存在します。